2012年度に軍民共用空港として開港を目指す岩国空港(現・岩国飛行場/海自・米海兵隊岩国基地) に、ANAが羽田線を就航させる意向を表明した。山口県における民間空港としては、山口宇部空港(現在羽田線などが就航)に次ぐ2つ目となるが、これは実質「広島における3つ目の空港」と言える。岩国市は事実上「広島都市圏」に含まれるからだ。
岩国市は山口県の東端に位置しており、広島市と隣接している。広島市西部の航空利用者にとっては、新空港は広島空港(三原市)より距離的に近く、アクセスが優れることが強みとなるだろう。一方で、広島市内に位置し広島都心に最も近い広島西飛行場については、広島市が羽田線の復活を求めている。現在の広島空港はこれら両空港、とりわけ西飛行場に比べてアクセスが悪く、3弱空港同士が足の引っ張り合いを始めることは目に見えている。
広島に続く悪い事例になりそうなのが福岡だ。現在の福岡空港(板付)は博多駅からわずか1駅と都心から非常に近いことが空港の強みとなっているが、拡張が難しく需要に対応できないという理由から移転が検討されている。尤も国交省は難しくても拡張をする方向だが、地元は経済界を中心とした協議会が新宮町沖への建設を提案し、造る前から苛烈な競合状態になっている。「新福岡空港」自体の問題点は既にある程度議論されているのでこの場では述べないが、都市圏全体にとって問題なのは将来福岡県内に3空港が併存する状態がありうることだ。
現在、福岡県内には板付の福岡空港と開港3年目の北九州空港の2つが存在する。仮に両空港が存続したまま新福岡空港なるものが出来れば、福岡もはれて関西、広島に続く3弱空港体制に仲間入りすることになるだろう。新福岡空港を建設する場合に板付をどう扱うかは地元でも議論が分かれるようだが、広島の経緯を見れば存続する可能性の方が高い。ここで求められるベストアンサーは「新福岡空港など造らない」ということに尽きる。
3弱空港体制の大先輩である大阪では、アジアのハブ空港を目指すはずだった関西国際空港が大失速の憂き目にあっている。昨年は「関空いじめ」とさえ言われた大手2社による関空発着路線大リストラが行われたが、今年出揃った新しい路線・便数計画ではロンドン線や中国線の一部が休止され、国内線も鹿児島線などが集中的に減便される。これはもはやいじめの域を超えた「関空はずし」であり、空港として存続すべき価値を将来に渡って維持できる状況ではない。この責任は一義的に、伊丹空港のあり方を見直そうとしない兵庫県にあると言える。
「おらが町に空港を」という地域エゴはかえって地域全体の地盤沈下を招く。新年度の大手2社の路線・便数計画は関西空港に厳しいが、それ以上に神戸空港は仙台線、鹿児島線を失うことでデスティネーションが7から5に減るという異常事態に陥る。先行事例として、首都圏では美濃部都政時代に羽田の空港機能縮小を謳い、成田新空港の建設でもめている間に埋立技術が飛躍的に進歩した。このことで2つめの空港を造った意味はなくなってしまい、羽田空港の沖合展開事業(沖展)が始まっている。今後も羽田空港の機能拡張は検討されるだろうが、成田空港が当初計画どおり全面完成の日を迎えるのはいつのことになるやら知れない。これらの教訓はまず兵庫県が伊丹空港の廃止を真剣に検討すべきだということを示しているのではないか。
広島の話に戻せば、県の藤田雄山知事は「西飛行場不要論」を唱えている。新広島空港は既に造ってしまったものなので仕方がないが、とすれば西飛行場は廃止するほか選択肢はない。県、市をあげて新広島空港へのアクセスの改善を図るべきで、関西の轍を踏むことがないよう期待したい。全国的に見ても、今後道州制の導入を見据えれば、1都市3空港体制は首都圏以外では検討の余地はない。





by parkmount
広島・福岡「三空港体制」への…